夢中

18時40分天王寺発の快速電車に乗った。
仕事はじめの人たちが多いのか、思ったより電車は込み合っていた。
今の季節はそれぞれ厚手の上着を着るので、やや窮屈な車内となる。
今年は観測史上最高の高温の冬なのだそうだ。
だから車内に居る間は背中が汗ばむほど暑く感じることがあるが、
それほど混雑しているわけでもないので、とりあえず暑さに悩まされることはなさそうだ。

冬に暑さで格闘する

こっけいなことだと思う。
世の中には寒さで困っている人たちが大勢いるというのに、
寒いときに暑さで悩むというのはなんという贅沢なのだろう。
世界全体のことを考えるのは横においといて、
暑さに苦しむこともないので心情的には余裕が生まれた。

おもむろにカバンの中に大事にしまいこんでいた今朝方購入した青年漫画を取り出した。
漫画といっても、馬鹿にしたものでもない。ジャンルによってはためになる作品も多い。
・・・文章で読者に自己の意図するイメージを膨らまさせること、が小説家など文字作家の努力というのなら、
あえてイメージを画像として伝え、なるべく多くの人に、いやさ万人に共通の感激を配布しようというのが漫画家など画像作家の努力ということになるのだろう。

中年男性が漫画を読むことを正当化する弁論はそろそろやめにしよう。
とにかく、今、読みたい。と思って取り出した漫画雑誌。
この混雑具合では、かなわぬことなのだとようやく気がついた。
人間、何かをやりたい、という衝動には弱い。
ささやかな抵抗はここまでにしておこう。

余裕を手にし、暇つぶしへのよい手立てが頓挫してしまったからには、
自分の楽しむ世界は横においておき、

少し、まわりの世界を見てみることにしよう・・・