邪魔

本日は、訳あって午前9時4分鳳発の快速電車に搭乗。
先頭の特等席をゲットした。ここでいう特等席というのは、
運転席横の窓の前
である。どんどん進み行く車両を、運転手のようなポジションで見ることは、
男のロマン
そのものである。例えるなら、男のロマンを感じさせるこの運転席横の窓は、
銀幕
である。この運転席横の銀幕を楽しもう、と私は控えていた。
同じ想いを抱く男性がもう1人居た。
彼は、年齢にして
40台後半
そして、
てっぺんハゲ
が特徴的だ。仮にこの男性を
ハゲ男
と呼ぼう。
もう一人、若者が居た。彼は年の頃なら
20台前半
っぽい。どうも学生らしい。彼は
日経新聞
を握っていた。なかなか、ちょこざいである。仮に彼のことを
日経男
と呼ぼう。
そして、事件はこの日経男の行為から始まった。
日経男は、りっぱな両腕をふるい、なんとおもむろに、手に持っていた日経新聞
堂々と、広げたのだ。
まさに、この新聞の読みようは実に
凛々しく、男らしい・・・!
両足を肩幅に広げ、進行方向に向かって仁王立ち。
そのままの体制で、日経男は、手に持っていた日経新聞
広げたッ!
もう一度。
広げたッッ!!
のだ。
わかるだろうか。男のロマンを映し出す、あの運転席横の銀幕窓を、
こともあろうに、日経男は、
自分が読んでいる日経新聞により、
覆い隠してしまったのだ。
はっきり言って、
邪魔だ。
新聞読むなら、運転席窓をばっちり覗けるポジションでなくてもいいだろう。
早くそこをッ!
どけいっ!!!
といいたいが。
・・・日経男を責める理由って、
無いのよう。
だから余計に、悲しくなってくる。
ハゲ男も、同じように感じたらしい。
首をくねくね動かし、何とか外の景色を見ようと、懸命になっている。
また、
他の乗客である、
おばさん方数人も、なんとなく日経男の振る舞いに、
イラっ
としてそうだ。
なんとなく、車内が、
邪魔だ!
という、思いで
一体感が現れた

がする。
それはそれで、なんとなく、
孤独感が薄れ、ちょっと

な気分だ。